唾液は歯を守っている!
こんにちは(^^)今回は歯科医師の中川が担当します!
皆さん、唾液の役割ってしっていますか?唾液は歯にとってとても大切な役割をはたしています。
歯は「エナメル質」「セメント質」「象牙質」「歯髄」の4つの層で構成されています。
私たちが見ている歯は「歯冠」と呼ばれる部分で、その表面を覆うエナメル質は、体内でもっとも硬い物質です。エナメル質はその硬い組織で、咀嚼による摩耗や酸による腐食から歯を保護しているのです。
エナメル質の主成分はカルシウムとリン酸で構成された「ハイドロキシアパタイト」という結晶です。じつは唾液は、エナメル質を守るために「酸の影響をやわらげる」「カルシウムとリン酸を供給する」という重要な2つの役割を果たしています。
エナメル質は、歯が口の中に生える前に、「アメロブラスト」という細胞によって形成されています。ところが歯が生えると、このアメロブラストは消失し、新しいエナメル質を作ることができなくなります。そのため、エナメル質を失ったら、元には戻りません。
では、いちど形成されたエナメル質はそのまま放置され、ただ衰えるのをじっと待っているのかというと、そうではありません。ハイドロキシアパタイトの構造は、お口の環境に応じて絶えず変化しています。このプロセスは「脱灰」と「再石灰化」と呼ばれ、それぞれがバランスを取ることでエナメル質の健康が保たれています。
まず脱灰ですが、これには酸が影響します。ほとんどの食べ物や飲み物は酸性です。酸がエナメル質に作用すると、ハイドロキシアパタイトが部分的に溶けて、カルシウムやリン酸がエナメル質から出ていきます。これが脱灰です。むし歯も脱灰によって生じます。唾液には酸の影響をやわらげ中性に戻す「緩衝作用」があり、これによって脱灰が進行しにくくなります。これが唾液の1つ目の役割です。
次に、「再石灰化」です。唾液はカルシウムやリン酸を豊富に含んでおり、これらの成分が脱灰によって失われたエナメル質に再び取り込まれます。これを「再石灰化」といい、この過程でエナメル質のハイドロキシアパタイト結晶が再び形成されます。これがエナメル質を守るための、唾液の2つ目の役割です。とくに、フッ素が再石灰化の過程に加わると、「フルオロアパタイト」という耐酸性の高い結晶が形成され、エナメル質がさらに強化されます。
こうして唾液は、酸の影響をやわらげたり、カルシウムとリン酸を供給してエナメル質の再石灰化を促進することで、歯の健康を保つ役割を果たしているのです。